ページのTOPへ戻るボタン、要らないのでは?

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制作現場でよく出る話ではありますが、言わせてください。
ページ最下部とかにあるのは許せるのですが、画面固定で表示するのは本当に要らない。
画面固定表示の「ページのTOPへ戻る」が、なぜ無くならないのだろうと不思議に思っているので、要らないと思う理由を書いています。

そもそもデバイスの操作で実行可能

computerパソコンの場合

Windowsの場合はHomeボタンで、Macの場合はcommand+で、ページのTOPへスクロールします。

smartphoneスマートフォンの場合

iPhoneの場合はステータスバーをタップすると、ページのTOPへスクロールします。

Androidの場合は使ったことないけど、できる……
あれ?できない?調べたらできないみたいです。

無駄にJavaScriptで実装しなくても機能はすでにあるんですよね。Androidは盲点でしたが。。慣性スクロールなどもデバイスの設定で調整できるのに、サイト側で強制的に設けているものあります。
このように、既にある機能やユーザーが調整できるものを、わざわざ作ったり強制したりする必要はないと思います。

ページのTOPへ戻る信者の方は、Androidはできないじゃないか、キーボードなんて押すの面倒、ステータスバーなんてタップしにくい、なんて反論があるかもです。
まだ要らない理由は続くので、もう少しお付き合いください。

もっと優先すべき要素がある

そもそも「ページのTOPへ戻る」が、ユーザーに有益なケースは多いでしょうか。
サイトオーナーにとって、ページのTOPへ戻って欲しいのでしょうか。
誤って押してしまった場合は、ユーザーにとって嫌な体験にもなります。
ページ最下部に設置するのなら分かる気もするのですが、画面固定表示までして設置する理由はどうも共感できません。

最近では、CXツールやMAツール、CRMツールなどで、セグメントやパーソナライズに応じた情報の表示や、チャットツールなどで、お問い合わせやサポートを受け付けたり、ページ自体の設計も変わってきてます。限られた画面内表示要素については、これまで以上に考える必要があります。

こういった試みと比較して考えてみると、画面に固定表示の「ページのTOPへ戻る」は課題としてレベルが違っていて、もう無くてよいと思います。また「ページのTOPへ戻る」で解決したい問題は、メニューや目次(アンカーリンク)、関連情報など、本来別の解決策が妥当なケースが多いんじゃないでしょうか。

日本が特に好んでいる説

制度設計、業務フロー、UI、日本は「冗長」「多機能」を好むと聞きますよね。
日本のリモコンなどボタンの多さはよく聞く話です。

他にも単純なところで、西暦と和暦の使用(両方OK/和暦のみ/西暦のみなど)。
氏名と住所は、①漢字で書く、②もう一度読み仮名を書く、という二度書かせる文字は斬新だなと思います。他の言語の文字で、一度じゃダメな文字文化があるのか興味深いです。漢字を表意文字と表音文字で使い、さらに平仮名と片仮名を使うことから、多機能で仕組みを複雑にするのが好きな傾向があります。

もしや日本が特に好んで設置してるのではないか?ということで、海外のサイトと比較してみようと思います。

日本と海外のサイトを比較

日本と海外のどちらでも見つけやすい括りで、サイトを探して比較してみました。
たまたま偏っていたなんて可能性もありそうですが、恣意的に選んではいません。

PC画面のみで確認

  • ◎ 画面固定表示で設置あり
  • ○ TOPページのみ/上スクロール時のみ、などで工夫して画面固定表示で設置あり
  • △ フッターなどページの最下部に設置あり
  • ✕ なし

directions_car自動車

ブランドになると多すぎるので、基本は会社単位で探すようにしました。
グループであっても別会社(親会社・子会社など)であれば対象にしてますが、再編などややこしいので間違いがあるかもしれません。

簡単と思って自動車で探したのですが、グループサイト、グローバルサイト、リージョンサイト、コーポレートサイト、サービス/ブランドサイト、ディストリビューターサイトなどでややこしいため、比較対象サイトとして間違いがあるかもしれません。

Webサイト ページの
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備考
いすゞ自動車open_in_new
スズキ株式会社open_in_new コンテンツによっては別テンプレートで△
株式会社SUBARU(スバル)open_in_new
ダイハツ工業株式会社
総合トップページopen_in_new
ページによって違う
トヨタ自動車WEBサイトopen_in_new 別にある企業サイトは◎
日産自動車ホームページopen_in_new 別にあるグローバルサイトは◎
Hondaホームページ :
本田技研工業株式会社open_in_new
別にあるグローバルサイトは✕
マツダ オフィシャルウェブサイトopen_in_new 別にあるグローバルサイトは✕
BMWopen_in_new グローバルサイトも✕
グループサイトは◎
Mercedes-Benzopen_in_new グローバルサイトも△
Volkswagenopen_in_new グループサイトは✕
Audi Deutschlandopen_in_new グローバルサイトは✕
Porsche Deutschlandopen_in_new
General Motorsopen_in_new 各ブランドサイトも✕
Fordopen_in_new 上スクロール時に表示
Teslaopen_in_new TOPとModel Sのページ✕
それ以外:固定ヘッダーエリアに◎
Stellantisopen_in_new
Abarthopen_in_new
Alfa Romeoopen_in_new
FIATopen_in_new
Lanciaopen_in_new
Maseratiopen_in_new
Ferrariopen_in_new TOPは✕
下層はコンテンツによって違う◎
Lamborghiniopen_in_new
Renaultopen_in_new
Aston Martinopen_in_new
Bentleyopen_in_new
Jaguaropen_in_new
Land Roveropen_in_new
Lotus Carsopen_in_new
Rolls-Royceopen_in_new
SEATopen_in_new
BYDopen_in_new
CHANGANopen_in_new
CHERYopen_in_new
FAWopen_in_new
SAICopen_in_new
HYUNDAIopen_in_new TOPは✕
下層車種ページによっては◎

自動車メーカーに関してざっと見てみましたが、海外では設置していないケースが一番多い結果となりました。
その中で「ページのTOPへ戻る」を一律で画面固定表示で設置している(◎)のは、日本メーカーが多いようです。

account_balance銀行

G20財務大臣・中央銀行総裁会議に関連する銀行で比較してみました。

◎と✕が同数で、何とも言えない結果でした。
画面固定表示をしていない△が○より多いので、個人的には不要派が優勢と思っています。

directions_runスポーツ用品

売上ランキングの上位を参考に、日本と海外のメーカーで比較しました。
複数サイトがあってややこしいケースはECサイトの方を優先しています。
サイトの区分けや構造がややこし過ぎるものは対象サイトに選びませんでした。

Webサイト ページの
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備考
アシックスopen_in_new 企業サイトも◎
ミズノopen_in_new 企業サイトも◎
デサントopen_in_new 企業サイトは△
Nikeopen_in_new 採用やIRなどサブドメインで展開の全サイトも✕
adidasopen_in_new グループサイトも✕
PUMAopen_in_new 企業サイトも✕
ANTAopen_in_new
Under Armouropen_in_new アイテム一覧のみ◎
それ以外は✕
New Balanceopen_in_new
Columbia Sportswearopen_in_new

世界ランク上位のビッグネームは「ページのTOPへ戻る」が無かったのは嬉しいです。根拠は薄いですが、日本が好んでいる傾向にあると個人的には感じました。

おわりに

画面固定表示の「ページのTOPへ戻る」は結構使われているので、残念ですが無くなることはなさそうですね。解析やABテストなどで明らかに効果があれば、設置した方が良いのだと思いますが、何となくで根拠なしの場合は、設置しないのが正しい判断じゃないかなと思います。
発注者の要望であれば断れないですけどね。

もう少し掘り下げるか、別の比較対象軸でも検証してみると、日本が特に好んでいるかハッキリするかもしれません。楽にサイトの一覧を見れるアワードやWebデザイン集は、見栄えやインタラクションの方に偏っているため、比較対象探しに向かないかな?と思って使用しませんでした。もうこれ以上見るのは疲れるので、多分検証することはないです!

個人的に調べた結果ですので、間違いがあっても許して頂きますようお願いします。
みなさんは、必要派か不要派どっちでしょうか?